ホグズミード週末と言ったら、ハロウィーンやクリスマスの行事のように、ホグワーツの生徒たちの心を浮き立たせる出来事でしょう。しかし、リリー・エバンズはまるでお葬式でも来たかのように、大きな溜息を1つつくのです。
何しろホグズミード週末があるたびに、大嫌いなジェームズ・ポッターが、自分をデートに誘ってくるので、リリーはそれに心底うんざりしておりました。
「やあ、エバンズ」
そして今日もまたやってきたジェームズを、リリーは片方の眉毛をちょっと上げて睨むように見ました。
「今週末は、ホグズミード週末だね」
「そうだったかしら」と、リリーは冷たく言いました。何度誘われたって、リリーはジェームズなんかとホグズミードに行きたくはありませんでした。
「一緒に行かない?」
「行かないわ」
ジェームズは心底がっかりとしたように肩を落とし、リリーを見ました。しかし、彼はこれで引き下がりませんでした。いつもはそうしますが、やはり彼女とホグズミードに行きたかったのです。
「2人きりが嫌なら、他のやつも誘っていいよ。君の友達とか……」
リリーはすまして鼻を鳴らしました。
「そ、そうだ! シリウスも誘おう! あいつ、最近彼女ができたから……」
「ブラックに彼女がいるなんていつものことだわ」
「あー、まあ、そうだね……それに、今回はよりにもよって・だなんて、君も一緒に行きたくないだろう?」
半ば冗談交じりに、言ったつもりでした。リリーは大きな音を立てて立ち上がり、きつくジェームズを見据えました。
「何ですって?」
「え……?」
「が何ですって? あなたも他のみんなと同じで、のことを悪く言うの?」
「だって、彼女は……」
「あの子は何もしてないわ! 見た目がどうこういうのなら、見た目なんてみんな違うじゃない!」
リリーの言葉を、ジェームズは半ば呆然として聞いていました。リリーはひどく怒っています。
「みんながそうやって意味も無く彼女を悪く言うから……だからはみんなを避けるのよ!」
リリーはそれ以上何を言っていいのかわからなくなって、パッとその場からかけていきました。ジェームズは追いかけることもできず、リリーの言っている言葉の意味を理解することもできず、ただただそこに立っているのでした。